費用収益対応原則

費用収益対応原則は、損益計算書のうち、費用に関する原理原則である。

発生主義によれば、現金の支出をもって費用とするわけではない。そうなると、一体何をもって費用とするのかということになる。それを規定するのが費用収益対応原則だ。

費用とは、収益獲得のために払われた経済的犠牲のことをいう。すなわち、収益の獲得に直接的・間接的に貢献していなければ費用と言わないということだ。費用収益対応原則とは、収益の獲得に貢献した部分を費用とし、収益と対応付けて計上しなければならないとする原則だ。

そもそも会計の重要な目的の1つは、1年、四半期、月という一定期間の期間利益を適正に計算することにある。そのためには、収益と費用が対応付けられている必要がある。そうでなければ、収益と費用の差額として計算される利益が意味をなさないからだ。費用収益対応原則は、適正な期間利益計算を支える重要な原則といえる。

費用と収益の対応には2パターンがある。1つは個別的・直接的な対応だ。これは、商品・製品を媒介として収益と費用が個別・直接的に対応することだ。その最も典型的な例は売上高と売上原価である。売上高と売上原価は、商品や製品を媒介として、売れたものとその費用という直接的な対応関係にある。

もう1つの対応は期間的・間接的対応だ。たとえば販売及び一般管理費は、売上高との個別的対応関係を見出すのは容易ではない。そこで、「ある期間に発生した販売費及び一般管理費は、同じ期間に発生した収益に貢献したであろう」という前提の下、その期に発生したものをすべてその期の費用とする。これは会計期間を媒介とした間接的な対応だ。このような費用を期間費用という。