利益を課税対象とする税率を1つにまとめたものを実効税率という。利益に対する実質的負担税率と思えばよい。
特に、以下の式で計算されるものを法定実効税率という。
\[
\mathrm{法定実効税率} = \dfrac{\mathrm{法人税率} \times ( 1 + \mathrm{住民税率} ) + \mathrm{事業税率}}
{1 + \mathrm{事業税率}}
\]
上式は以下のように導かれる。ここでは、利益と所得に差異はないとする。
法定実効税率をTとすると、利益を課税対象とする税金、すなわち法人税等は
\[
\mathrm{法人税率} = \mathrm{利益} \times \mathrm{T}
\]
となる。
一方、法人税等とは法人税、住民税、事業税である。住民税は法人税額に対して住民税率をかける。また、事業税は損金になるので、その実効税率相当額だけ税額は減少する。したがって、法人税等は以下のように書ける。
\begin{align}
\mathrm{法人税率} &= \mathrm{利益} \times \mathrm{法人税率} + \mathrm{利益} \times \mathrm{法人税率} \times \mathrm{住民税率} + \mathrm{利益} \times \mathrm{事業税率} – \mathrm{利益} \times \mathrm{事業税率} \times \mathrm{T} \\
&= \mathrm{利益} \{ \mathrm{法人税率} + ( 1 + \mathrm{住民税率} ) + \mathrm{事業税率} – \mathrm{事業税率} \times \mathrm{T} \}
\end{align}
これが、先ほどの法人税額と等しいので、以下のようになる。
\begin{gather}
\mathrm{利益} \times \mathrm{T} = \mathrm{利益} \{ \mathrm{法人税率} + ( 1 + \mathrm{住民税率} ) + \mathrm{事業税率} – \mathrm{事業税率} \times \mathrm{T} \} \\
\therefore \mathrm{T} = \dfrac{\mathrm{法人税率} + ( 1 + \mathrm{住民税率} ) + \mathrm{事業税率}}{1 + \mathrm{事業税率}}
\end{gather}
住民税と事業税は地方税なので、企業の所在地によって若干異なるが、法定実効税率は約30%である。