1株当たり配当額

1株当たり配当額は文字通り、1株当たりの年間配当額だ。式で書けば以下のようになる。

\[
\mathrm{1株当たり配当額} = \dfrac{\mathrm{年間配当額}}{\mathrm{発行済株式数}} \mathrm{(円)}
\]

1株当たり配当額は、かつての日本においては、配当水準を測る指標として長らく最も重視されていた。その背景にあったのは、安定配当政策という慣行だ。

配当とは利益の分配だから、本来は利益の多寡に応じて配当額も増減して然るべきだ。ところが日本では、利益の多寡に関わらず一定額の配当をするという配当方針が長らく取られていた。これを安定配当政策という。

安定配当政策の下では、必然的に1株当たり配当額が最も重視されることになる。

ところが、物言う株主が増えてきたことにつれて、安定配当政策は株主に受け入れられなくなってきた。なぜならば、安定配当政策だとどうしても配当額が低めに抑えられるからだ。考えてみれば当然だ。利益の多寡に関わらず一定の配当額を支払うためには、利益が少ない時でも配当できる金額に設定することになるからだ。 逆に言えば、安定配当政策が受け入れられたのは、かつての株主が物言わぬおとなしい株主だったからともいえる。