バランスト・スコアカード(Balanced Scorecard: BSC)とは、「バランスの取れた成績票」ということだ。成績票ということは、業績評価手法の1つということだ。
どういうバランスが取れているのかというと、その中心は財務的指標と非財務的指標のバランスだ。バランスト・スコアカードでは、財務の視点以外に、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点という非財務的視点を合わせて、合計4つの視点に基づく指標で業績を評価する。
4つの中でまず考えるべきは財務の視点だ。なぜならば、ビジネスである以上、所定の財務的指標を達成するのがゴールだからだ。結果から逆算して手段を考えるのだ。
財務の視点における主な関心の所在は「いかに売上を上げるか」と「いかにコストを下げるか」だろう。そのうち、売上を上げるために必要なのが「顧客の視点」だ。顧客が買ってくれなければ、売上は発生しないからだ。
「顧客の視点」が決まったら、それに基づいて「業務プロセスの視点」、すなわち仕事のやり方を考える。仕事をやるということは、直接的にはコストの発生原因にしかならない。したがって、コストを下げたければ、その発生原因となっている仕事のやり方を変えるしかないということだ。
仕事のやり方が決まっても、まだ会社は動かない。実際に仕事をやるのは、言うまでもなく人だからだ。最後の「学習と成長の視点」とは、一言で言えば「人の視点」ということだ。
これが4つの視点だ。バランスト・スコアカードは、財務的指標を、顧客の視点を最上位に据えて、仕事のやり方、そして人の視点にまでブレークダウンして指標を設定するところに意義がある(下図)。
マネジメントできるのは業務プロセスの視点と人の視点の指標だけだ。顧客に関する指標も、財務的指標も、人が仕事をやった結果に反応するだけだ。
直接マネジメントできない売上や費用に対してを、「売上を上げろ!」「コストを下げろ!」と怒鳴るだけでは何も起こらないということだ。