回収期間(payback)とは、投資額を何年で取り戻すかの期間である。回収期間を用いて投資の評価をする方法を回収期間法という。
たとえば、10億円の設備投資に対して、毎年4億円のリターンがあるとする。この場合、リターンの累計額が投資額10億円を超過するのは3年目(4億円×3年=12億円)なので、回収期間は3年ということになる。
回収期間法の長所は、発想も計算も簡単なことである。しかし、回収期間が分かっても、投資の可否については判断できないという短所がある。特に、単一の投資案件を絶対評価することができない。たとえば、上記の例で、回収期間が3年だというのが分かったところで、この投資を実施するのか否かについては何とも言えない。
また、安全性の評価尺度にはなり得るが、収益性の評価尺度にはできないという短所もある。回収期間は使ったお金を取り戻すスピードなので、これが短いということは資金繰りが楽になる、すなわち安全性が高いという評価はできる。しかし、たとえば下図のような場合、第1案と第2案はリターンのプラスアルファの程度、すなわち収益性は明らかに異なるが、いずれも回収期間は3年となり、区別できない。